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国土交通省は5日、厚生労働省と法務省との合同で2023年7月に設置した「住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討会」(座長:大月敏雄東京大学大学院工学系研究科教授)の5回目の会合を開き、中間とりまとめ(案)について検討した。
中間とりまとめ(案)は、これまでの議論を踏まえ、居住支援をめぐる現状と課題、今後の基本的な方向性や取り組み等について整理。居住支援の充実や賃貸人が住宅を提供しやすい市場環境の整備、住宅・福祉・司法が連携した居住支援の体制づくりなど、多岐にわたる内容を盛り込む。大家等の賃貸人が住宅確保要配慮者に高い入居拒否感を持っていることや、地方公共団体における住宅部局と福祉部局との連携、家賃債務保証の利用にあたっての審査基準が要配慮者の実情に沿わず審査に通らないことなどを課題として挙げた。
そうした課題を踏まえ、要配慮者が賃貸住宅に円滑に入居するための市場環境整備の必要性を指摘。要配慮者個々人が複合的な課題を抱えているケースも多いことから、福祉施策と住宅施策が連携して相談・住まいの確保・入居後の支援といった一貫した総合的な支援体制を構築することや、切れ目のない支援のために居住支援法人を活用することなどに取り組むべきとした。さらに、安否確認や緩やかな見守りといったサポートや死後事務委任等の仕組みを整備提供することで、賃貸人の不安解消なども必要だという。
今後、3省のより緊密な連携についても必要性を訴え、関連諸制度も踏まえた具体的な居住支援施策の見直しに向けた検討を進めるべきだとしている。その際、地方公共団体、不動産事業者、居住支援法人、社会福祉法人、更生保護施設など多様な主体が協働して取り組む仕組みの構築についても検討を進めることが必要とした。また、その後も適時の検証・制度見直しが求められるとし、「地域の居住支援体制をより良いものにするよう、不断の取り組みが行なわれることを期待する」と締めくくっている
これに対して各委員からは、「賃貸人は約9割が住戸内での死亡やその後の事務処理に対して不安を抱いている。終身建物賃貸借契約等をもっと使いやすくするなどの取り組みが求められる」「全世代向けの住宅政策といかにリンクさせるかという点も今後検討すべき」「居住支援法人の財政も厳しい状況。財政的な措置の必要性を明記すべきでは」などといった声が挙がった。